Kinoko3制作後記 第9話
- 2011/08/09 20:02
- カテゴリー:動画, Kinoko3制作後記
話タイトルが「それぞれの末路」であり、「Kinoko壊し」も本格化してきた第9話。
主人公は廃人になるわ、町は吹き飛ぶわ、機動兵器は押し寄せてくるわでやりたい放題。しかしメインキャラクターはまだ死亡フラグ立ての段階で、実際に第9話で燃やされるのは投稿キャラという……。
2007年4月1日、鉄鋼団のサイト上で毎年なにかしらやっているエイプリルフールネタにかこつけて、「妻科市民大募集」という企画が行われた。これはKinoko3の舞台である妻科市の市民をお絵描き掲示板で募集し、その全てを本編に登場させるというもの。もちろんエイプリルフールのジョーク企画という体だが、実は本当に本編で使われてしまう、というのがミソな二枚舌な趣向であった。ただし妻科が炎上する第9話で、薪にされるための役なわけだが。
どんな絵が投稿されるのか、はたまた全く投稿されず企画倒れとなってしまうのかドキドキしたのを覚えている。果たして有志による妻科市民は計47キャラ集まった。多いのか少ないのかと言われれば、かなり多い。現在よりもさらに過疎地帯であった当時の鉄鋼団としては異例の盛況振りと言えるし、何より全キャラを本編で使用することを考えると47という数字は侮れない。
それにしても投稿してくれた皆さん、悪ノリ加減が空気読みすぎ(笑)。
正直どいつもこいつも作者が料理に困るようなヤツばかり。流石というかなんというか。
しかしそこは変態シェフの腕の見せ所。ゴリ押しではあるものの、一応どうにか全キャラ出演させることには成功した。
切り取ったり、色塗ったり、アニメーションさせたりと、とにかく加工するのが大変だった。これがもし仮に倍投稿されていたとしたらと思うと冷や汗ものだ。ネットの恐ろしいところは、なんらかのスイッチ一つで過疎地帯に予想外のアクセス集中が起こる可能性があることだ。もちろんそれは嬉しいことでもあるが、ほんと100キャラとかいなくてよかったよ……。
鉄鋼団としては異例のこのコラボ企画は、しかし単なるおふざけ以上の意味があったように思える。Kinokoシリーズはスタッフが集まらない(今にして思えば集めていないだけなのだが)ので、個人制作でやっていたわけだが、作者はいつの間にか「絶対に一人で作りきってやる」というような意地に囚われていた。そもそも制作の動機が、個人の妄執でもあるわけで、本来ならば投稿キャラクターのような「異物」が入り込む余地は無かったはずだ。
しかし第9話を作っている段階では、最早そんなことはどうでも良くなっていた。そんな妙なこだわりよりもむしろ、敢えてこのカオス作品に付き合ってくれたユーザの皆さんに対する感謝の気持ちの方が勝っていたと思う。その表現方法は甚だ屈折していたけれども。
Kinoko3第1話~第8話の連載を通して痛感したことは、このような「シェフの気まぐれパスタ狂気風」的な作品であってさえも、ユーザ無くしては有り得ないということ。それは遅ればせながらの鉄鋼団の「お客との出会い」であり、メタ的な意味での「Kinoko壊し」でもあったのだ。
(ん)
この企画は感動した!
ファミマガ読者参加で作られたラグランジュポイントに匹敵するくらい感動した!
次回の筋肉超人募集はいつですか?